Léo Schnug(1878-1933) 幼い頃に父親が精神病で隔離され、姉妹も病で無くした彼は母親一人の手で育てられました。大変貧しい生活ながら、苦労してストラスブールの装飾美術学校で学び、早くから才能を認められドイツのミュンヘンアカデミーに進学します。 少年時代にストラスブール市立劇場の裏街に住んでいた為、オペラの衣装や小道具に囲まれて育った彼は、ヨーロッパの古代衣装や武具、装飾、紋章等に興味を持ち造詣を深めました。その後ユーゲントシュティールの雄ヨーゼフ・サットラーのグループで研究を続け、中世社会のビジュアル化において多くの学術的実績を残しました。 第一次世界大戦が始まると従軍画家として戦地へ赴きます。戦場での過酷な体験のせいなのか、精神を病んだ父親と同じ道を辿る恐怖からなのか、その頃から大量の飲酒を繰り返すようになります。そしてついに重度のアルコール中毒となり、1933年55歳でこの世を去るのです。 彼の残した絵画、壁画、風刺画、多くのグラフィックデザインや蔵書票は、その確かな技量と考証によって現在でも高く評価されています。 |
彼の癖なのか、左から眺める形が多いのです。心理学的に何かあるのでしょうか
なんとなく此処ではない何処かに思いを馳せているようです
漫画っぽい画風です カリグラフィーも魅力です
色のセンスは現代的ですね
第一次大戦は人類が体験した初めての大量破壊兵器による近代戦でした。ドイツ軍はかなり悲惨な戦況だったようです。レオが夢想した、騎士たちによる古き良き時代の戦闘とはあまりにかけ離れた戦場の現実に、彼の繊細な心は打ちのめされたのではないでしょうか。せめてもう10年制作を続けていたら・・・。
レオの肖像写真です