武井武雄(1894-1983)
武井武雄さんは長野県平野村(現岡谷市)出身の童話作家で童画家、版画家、造本作家です。
裕福な地主の家に生まれましたが、幼い頃は病弱でほとんど外で遊べず、友達もあまりいませんでした。しかたなく「妖精ミト」という想像の友達を創り出し、空想の中で一緒に遊んでいたそうです。この経験が童画を描く原点になったのではないかと言われています。
東京美術学校(現東京芸大)西洋画科卒業後の1922年、東京社が創刊した絵雑誌「コドモノクニ」創刊号のタイトル文字と表紙絵を担当し、その後絵画部門の責任者となります。
私が子供の頃は「キンダーブック」や「赤のっぽ青のっぽ」、武井さん挿絵の、三匹の小豚、ピノキオ、等の童話本が家にあって、幼児期の記憶に結構鮮明に刷り込まれています。なにしろ武井さんの絵はよく見るとかなりシュールでインパクトがあるのです。私は大人になって彼の絵に再会した時、その魅力にすっかりはまってしまいました。今見ても全く古くないのです。むしろ新鮮でおしゃれで詩的、そしてなんと言ってもかわいいのです。
武井さんは童画だけでなく、刊本(絵、話、印刷、装丁、函等全てを表現の一つであると考え制作された作品としての本)や、玩具も製作し、蔵書票も数多く残しています。武井さんの板目木版画による蔵書票は素朴でユーモアがあり、彼の童画と同様に、人の心を暖かくする力を持っているのです。
第三書票集の表紙です 素敵です
絵本作家だけでなく、手塚治虫さんやさくらももこさんにも影響を与えました
出身地の岡谷に武井さんの記念館「イルフ童画館」がありますので是非ご訪問下さい。