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Channel: 蔵書票研究所 鎌倉
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Franz von Bayros が描いた音楽家票

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エロチックな作品ばかりが注目されるバイロスですが、彼の描く蔵書票の中には音楽をモティーフにした作品や、高名な音楽家が描かれた作品も多数存在しています。
彼の活躍したオーストリアのウイーンは音楽の都として知られていますが、当然演奏家、作曲家、音楽業界関係者らが多く居住していたので、音楽をテーマにした依頼も多かったと思われます。
一応侯爵であるバイロスの人脈にも、いわゆる業界人が多数存在しており、
かのワルツ王ヨハン・シュトラウス2世とも親交がありました。彼はその縁で1896年30歳でシュトラウスの娘と結婚するのですが、結婚生活は長く続かず、わずか一年で離婚しています(離婚原因は諸説ありますが)。
深い知識と教養に裏打ちされ、ドラマティックなエロスと幻想にアレンジされたバイロスの蔵書票は、感性の豊かな芸術系文化人達に支持され、クオリティも人気も他の追随を許しませんでした。
 
 モーツァルトです
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ベートーヴェンのデスマスク  貴重なサイン入りです
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これもベートーヴェン
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 ブラームス
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ワーグナー
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我が友は犬 我が恋人は猫

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蔵書票に描かれた犬たち
野生動物であった原始の犬族が、どのような契約で人類と共存するに至ったのかは知るよしもありませんが、単に餌を与えられる事の対価にしては犬の人への献身は度が過ぎています。それは時に感動的ですらあります。なにしろ犬は人と違って絶対に裏切らないのですから。
象徴としての犬は、忠誠、献身、勇気、友情、多産などを表すとされ、狩猟好きや武人系貴族等が好んで紋章、蔵書票に描きました。

                   紋章型蔵書票に描かれた犬
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犬は高い知能を持つ為、狩猟犬、番犬、牧羊犬等として古くから人類の友でした。現代でも警察犬、盲導犬、災害救助犬等多くの場所で活躍し、ペットとしても最も身近な存在となっています。最近では某白戸家のお父さんのように高額のギャラを稼ぐタレント犬も現れてい ます。
 
     アルテミス                                                                                      Oskar Roick
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古代エジプトでは死を司る冥界の神、犬の頭を持つアヌビス神として崇拝されています。ギリシャ神話の地獄の番犬ケルベロスも有名です。
 
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バイロスです
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日本では犬は古くから安産の象徴ですが、その他にも犬神伝説、八犬伝、犬公方綱吉、忠犬ハチ公、南極物語等、犬にまつわる歴史や物語、逸話もあまた存在します。
 
  柴犬大好きです                         内藤八千代さん 
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Oskar Roick 紋章盾型ジャーマンスープレックス

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Oskar Roick (1870-1926)
Oskar Roickはドイツ、ベルリン出身の紋章作家です。
腕の良い紋章デザイナーだったRoickは、従来の伝統的でパターン化された紋章デザインに、ユーゲントシュティールなどの当時最新の感覚を取り入れ、格調高くデザイン性の高い紋章、蔵書票を多数制作しました。またエッチング、石版画の新技法を駆使した鮮やかなカラーによる印刷や、写真を取り込んだ蔵書票なども時代に先駆けて作成しています。
Roickの仕事はその後の紋章デザイン、紋章型蔵書票の進化に大きな影響を与えたと言われています。
 
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   ギリシャ神話、ゲルマン神話をモチーフにした作品も多いです
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   当時としては斬新な写真を嵌め込んだ蔵書票
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以下は残念ながら所有していなのでネットから拾ったカラー印刷の蔵書票です 参考まで。
 
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蔵書票に舞い降りた鷲

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勇壮で力強い鷲の姿は、強さ、力、勇気、不死、遠大な視野、神の使者(もしくは神そのもの)、などを象徴するとされています。
古くはローマ帝国の国章に用いられ、以来様々な国、貴族、団体
が象徴として使用して来ました。
現在もアメリカ、ロシア、ドイツ、ポーランド、エジプト、イラクなど、宗教を問わず多くの国が国章に描き、スポーツチームなどの紋章、旗、軍隊の徽章、校章、そして蔵書票まで数え切れない程用いられています。
象徴としての意味もありますが、やはり抜群に絵になるその格好良さが人気の所以なのです。
 
  紋章型蔵書票に描かれた鷲
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  図案化された鷲    P.Voigt
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                    動物学的には鷲と鷹は大きさの 違いだけで、同じ鷹目に属します。
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      飛翔する鷲図の典型     R. Langbein
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 E. Jokisck
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  岩見禮花 先生         日本の蔵書票の画題に鷲は少ないですね
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白鳥と鶏のブルース

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白鳥と言えばLed Zeppelinフリークの私は、彼らが設立したレコードレーベルSwan Song Recordsのマークを今でも想い出します。
このマークは白鳥の羽根を持つアポロ像でしたが、様々な神話・伝説の中で白鳥は時に男性であったり女性であったりと、その姿を変化させています。ちなみにSwan Song とは白鳥がその命の尽きる時に上げる美しい鳴き声の事で、遺作や遺言、畢生の傑作等を象徴しています。
白鳥はビーナスの象徴として、愛と美、純粋、誠実、恩恵、等を表し、キリスト教においては聖母マリアの象徴とされています
ギリシャ神話では最高神ゼウスが白鳥に化身し、人妻レダと交わる逸話が有名です。
ワーグナーのローエングリンでは白鳥の騎士、チャイコフスキーの白鳥の湖では女性の化身として描かれています。
記紀神話では日本武尊が最後白鳥となって昇天されています。
西洋の蔵書票では、レダ神話をエロティックに描いた作品がバイロスを初め多数存在します。
 
バイロスの比較的ソフトな作品 この後の情事を想像させますね
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     紋章型蔵書票に描かれた白鳥
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雄鶏はフランス国家の象徴でもありますが、蛇を喰らい胸を張る勇敢な鳥であり、朝を告げる夜明けの象徴でもある事から、広義の吉鳥として描かれてきました。かつての鶏は現代の家畜化されたブロイラーの姿とは異なり、闘鶏に象徴されるかなり勇猛な鳥として認識されていたのです。
 
 Josef Sattler
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ル コック
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白鳥と鶏? Amadeusu
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女神の竪琴

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楽器を演奏するシーンは蔵書票の画題としてよく描かれていますが、中でも竪琴(ハープ)を持つ女神像(女性像)は最も頻繁に登場するキャラクターです。
ギリシャ神話に登場する文芸、芸術の9人の女神MUSAは芸術を愛する票主達に好んで描かれました。9人の中で竪琴を持っているのは合唱と舞踏を司るテレプシコーラと、独吟叙事詩の女神エトラーですが、どちらも音楽が欠かせない要素なので、それを象徴する竪琴を持っているのでしょう。
それ以外の女神が小道具として竪琴を持たされる場合もありますし、悪魔やセイレーンのような妖物が持っている場合も有ります。男性でもアポロンやダビデ王、オルフェウスが竪琴を持っていたとされています。また天使や吟遊詩人が持つ姿もポピュラーですね。
竪琴は純粋に音楽を象徴するだけで無く、享楽や官能的な誘惑の象徴として使われる場合も多いのです。
 
 J. Renart
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テレプシコーラと言えば山岸涼子さんですね バレエ漫画の金字塔です
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              ベートーヴェンのマスク入りです
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 バイロスはデザインにハープを取り入れた蔵書票を多数描いています
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         船乗りを誘惑し座礁させるセイレーンは鳥女か人魚の姿で描かれます
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ハープの大きさデザインも様々です
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ピアノの景色

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ピアノはチェンバロやクラヴィコードを原型とし、現代の形に進化したのは1720年代以降ですので、近代の新しい楽器と言えます。ですので神話や伝説には登場しないのです。
19世紀になるとヨーロッパの比較的裕福な家庭を中心に普及し、ピアノの為に多くの音楽が作曲されました。
絵画の中にもルノワールなど印象派の画家たちが好んで描いており、家族や女性とともにピアノがある景色は、ロマンスや芸術を象徴する平和なイメージを観る者に与えるのです。
 
Exmusicisは本以外にも広く物品、美術品などの所有を示すために貼られましたが、当時本と同様に大事な財産であった楽譜に添付される事も多かったのです。    Vladislav Röhling
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家族団欒ですね  J.Singer
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シルエットロマンス~
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ピアノは女性の為だけの楽器ではありません。特に20世紀以降はジャズピアノがポピュラーになります。
Reinhold Nagele
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本に恋するヴァイオリン

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ヴァイオリンが現在の形態に落ち着いたのは16~17世紀頃らしいのですが、弦を弓で擦って音を出す楽器はかなり古い時代から存在していたようです。ギターや笛のように簡単に持ち運び出来るので、吟遊詩人や旅芸人などが使用し、祭り、舞踏の伴奏などにも広く用いられていました。
ヴァイオリンの音はよく女性の声に例えられますが、その情感溢れる音色は感情表現がしやすく、数々の名曲を生み出しました。現代ではクラシックはもとより、ジャズ、ポップス、ロック、歌謡曲から演歌まで世界中の様々なジャンルの音楽に欠かせない楽器となっているのです。
 
蔵書票に描かれたヴァイオリンは、音楽を表すだけでなく、孤独や哀愁を表現する場合もあり、描かれた場面のBGMとして音楽が聞こえて来るような名作も数々存在するのです。
 
初期ヴァイオリンかリュートのようです    HansThoma
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                 19世紀末頃 作者不明
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演奏家ではハイフェッツとチョン・キョンファの大ファンです      Otto Ubbelohde
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    エロく無い バイロス  Exmusicisです
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 チェロとの二重奏です  ブルガリアの現代作家  Hristo Naidenov
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ギター残響図伝

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ギターの歴史は古く、その原型は紀元前3000年頃には既にあったようです。ほとんどの弦楽器の先祖は狩猟につかう弓がベースになっていますので、打楽器に次いで古い楽器と言えるでしょう。持ち運びに便利で演奏し易い楽器なので、弦をつま弾く同系楽器は世界中に存在しています。
ギターが現在の形になったのは16~17世紀頃ですが、蔵書票にはリュート、マンドリン、チター等様々なギター系弦楽器も描かれています。
 
関係ありませんが、若かりし頃レッドツェッペリンのジミー・ペイジに憧れて、一応ギターに挑戦してみたのですが、残念ながら全く巧くなりませんでした。その後様々な楽器を試してみましたが全く音楽の才能が無かったようで・・・・。今は聴く専門でございます。
 
  Reinhold Nägele
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メメントモリの象徴として骸骨が楽器を演奏するモチーフは多く描かれています。
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 楽譜付きです
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 木版です
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バイロス 甘い誘惑です
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意味深な絵です
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音楽を描く 音楽を読む

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票主は何故蔵書票に音楽シーンを描いたのでしょうか。
象徴的な意味を持たせる為に音楽をモチーフに使う場合もありますが、まず単純に票主が音楽好きだったという事が考えられます。敬愛する作曲家であったり、楽器であったり、好きなオペラの名シーンであったり、描かれた絵柄は様々ですが、わざわざ蔵書票に描くという事は、音楽に対する深い愛情が伺えます。この辺はアイドルやロックスターに憧れて部屋にポスターを貼ったり、スマホの待ち受けにしたりする我々となんら変わりありませんね。
次に自身が音楽家、演奏家である事が考えられます。書籍に貼るExlibrisだけで無く、楽器や楽譜に貼る為のExmusicisも多数作られていました。
また、画面に楽譜の断片が描かれている蔵書票もよく見かけます。これは想像するに録音機材の無い時代の指定BGMという事なのでしょう。手近な楽器で演奏してどんな曲か再現してみるのも面白いと思います。

さて様々な音楽家、楽器の描かれた代表的な蔵書票を紹介してまいりましたが、掲載した以外にも音楽関連の絵を描いた蔵書票は多々存在しますのでご紹介します。
 
    ト音記号です   Josef Sattler
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 やっぱりバンドに行き着きます   Karl Michel
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  元祖ELP
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享楽には音楽が不可欠です バンドネオン?
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 パイドパイパー 演奏してみましょう
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 教会とくればパイプオルガンです    Karel Benes チェコの現代作家です
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Japonisme Exlibris

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19世紀、明治維新による日本の開国によって、欧米に大量に輸出された美術品、陶工芸品等の日本美術は、フランス、イギリスを初めとする欧米アートシーンに、ジャポニズムと呼ばれる日本趣味のブームをもたらしました。ゴッホ、モネ、ロートレック等多くの芸術家達に多大な影響を与えたジャポニズムは、アールヌーボー、アーツ&クラフツ、ユーゲントシュティール等の芸術運動の端緒となったのです。
中でも北斎、歌麿を初めとする浮世絵版画は欧米の画家、版画家たちに大きな影響を与えました。
かの日本蔵書票の父Emil Orlikは浮世絵の木版技法を学ぶ為に来日したのです。
当時紋章型が主流だった蔵書票もこのデザイン革命の影響を受け、以後自由で多様なデザインが作られるようになったのです。
 
今回は、当時の蔵書票の中からジャポニズムの影響が顕著な作品を選んでみました。
 
 Erhard Amadeus-Dier  橋本雅邦か若冲か、日本画の影響が顕著です
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    Ottohans Beier  風神雷神図か仁王像ですね
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 Emil Orlik 金彩使ってます
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紋章型蔵書票にもこんなのがあります   
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ジャポニズムと言うよりオリエンタリズムですね  Josef Sattler
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 落款風です
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三美神ソウルトレイン

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三美神図(The Three Graces)
 
ギリシャ・ローマ神話に登場する三人の(三柱の?)女神を描いた三美神図は古来、彫刻、絵画のモチーフとして様々に用いられて来ました。
この三人の女神は、スとエリュノメの間に生まれた三姉妹でプロシュネ歓喜タレイア花のさかりアグライア輝きの三人とされるのが一般的なのですが、様々な異説もあります。パリスの審判では、ヘーラーアフロディーテ、アテーナの三神、他にもパーシテアー、カレー、ヘゲモネー等が描かれる場合もあり、人数も含めて一定していません。女神たちはそれぞれに象徴とされる事象がありますので、物語の内容や作者の意図によってその都度メンバーが入れ替わったりするのです。まるで現代の某アイドルグループのようです。
この三美神、ビジュアルイメージは殆ど全裸か半裸の姿で、その描かれた時代の最も理想的なプロポーションで描かれています。これは極端な話、神話にカモフラージュされた当時のヌードグラビアとも言えるのです。なにしろ描かれているのは神様なので文句の付けようがありません。猥褻なんて言ったら恐れ多いのですから。
男のエロ智慧は時代を超えて検閲と戦っていたのです(あくまで一説でございます)。
 
蔵書票にもエロスと象徴を表現する恰好のモチーフとして様々な形で描かれて来ました。
 
  現代作家 Vasyl Fenchak
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 Alfred Liebing パリスの審判の一場面ですね。パリスと白鳥に姿を変えたゼウスもいます。
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 Robert Anning bell  アールヌーボー時代の三美神 
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 Karl Michel
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 スウェーデンの陶芸 彫刻家 Ake Holm
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3人組の女性といえばPerfume、キャンディーズ、りぼん、プッチモニ等が思い浮かびますが、スリーディグリーズやシュープリームスも懐かしいですね。

蔵書票幻獣図鑑 6. 人魚

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人魚(mermaid
 
ギリシャ神話のセイレーンやドイツのローレライ伝説に登場する人魚は、共に歌声によって船乗りを幻惑し船を遭難させる美しくも恐ろしい存在として描かれています。
アンデルセン童話の人魚姫は、結局王子との恋愛が成就せずに、最後は泡となって消えてしまいました。
日本にも人魚の肉を食すると不老長寿を得られるという八百比丘尼伝説があり、かなりおどろおどろしい存在として伝えられています。
小川未明の「赤い蝋燭と人魚」も童話とは思えないほど暗い因縁話でした。
 どうも人魚はその美しい姿とは裏腹にダークなイメージが強い存在のようです。
 
象徴としての人魚は、古代ローマでは雄弁と学識の象徴とされていた事もあるのですが、人間を惑わす快楽、誘惑、娼婦、満たされぬ欲望、等を表すとされ、総じて不吉で災厄をもたらす存在と位置づけられています。逆に考えれば「危険を伴う程魅力的な誘惑」でもあるわけです。
 人魚の描かれた蔵書票も探してみると結構あるのですが、票主が人魚に何の象徴を託したのかは一概に解釈出来ない難しさがあります。単純に海イコール女性、を象徴させる場合もありますが、蔵書票に不吉な存在を描く事によって、魔除けや戒めの意味を持たせたという説もあります。
 
 ドイツの海洋画家にして船乗り、Otto Protzen の描いたセイレーン(かローレライ)。船乗りを惑わす魔物として恐れられていますが、嵐や濃霧の時などに船を導く場合もあるのです。
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 Louis Asperslag
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 Luigi Uboldi 船襲ってます
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 作者不明 
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 スペイン Alexandre de Riquer の傑作
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 日本蔵書票創生期の名作 森田乙三洞 作
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高橋留美子さんの「人魚の森」は怖かったなあ。

イカロスの飛行

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名大工職人ダイダロスとその息子イカロス(Icarus)はミノス王の不興を買いラビリンスに閉じ込められてしまいます。
脱出の為、鳥の羽を集め蝋と糸で固めた人工の翼を作ったイカロスは、見事大空を飛び脱出に成功します。
しかし調子に乗ったイカロスは父の忠告を忘れ高く飛び過ぎてしまうのです。
太陽の熱は翼の蝋を溶かし、ついにイカロスは海へと墜落してしまうのでした。

この神話の象徴としての意味は、大きく2つあります。
1つは「天を目指し神に近づく事の不敬」への戒め。
もう一つは「調子に乗るとろくな事が無いよ」という警告です。
その他、親の忠告には耳を傾けよ、という教訓や、理不尽な権力への反抗等、様々な解釈もありますが、「初の人力飛行への挑戦者」に対するリスペクトの意味を持つ場合もあります。
 
 作者不明
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 Ludwig Schaefr の傑作
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魔術師と錬金術師

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映画「ホビット 決戦のゆくえ」を観に行ってきました。2002年のロード・オブ・ザ・リング第一作から実に12年かかってのリングシリーズ完結には感慨深いものがあります。
リングシリーズに登場する魔法使い、イアン・マッケラン演じるガンダルフは、私が小説で想像していた魔法使いのビジュアルイメージそのものでした。
痩身の老人、高い鷲鼻、魔法の杖、ツバ広のとんがり帽子にロング丈の衣装、様々な物語や童話、映画、漫画、アニメ、ゲーム等に登場する魔法使いたちの原型とも言うべき、まさに魔法使いの決定版をマッケランは見事に体現していたのです。
この典型的イメージは科学と魔法がまだ未分化だった、中世ヨーロッパ時代の錬金術師の姿が原型となっています。
蔵書票に描かれた魔法使いは、科学、医術、学術全般、そして見えざる力である魔法をも駆使する「賢者」として描かれる事が多く、老賢人、ワイズマンとして無知蒙昧の人々を導く先導者の象徴でもあります。
 
                                        Albert Hinter
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 作者不明
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以下は魔法使いとして描かれたわけではありませんが、画的に魔法使いっぽいので載せました。
 
Bernhard Liebig   アウトドア派
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 Sepp Frank
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 Oleg Denisenko
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魔法使いと言えば、男性ではアーサー王伝説の魔術師マーリン、ハリポタ、FFの黒魔道師ビビ、ハウル、ゲド等が思いうかびます。7つの大罪のアニメ版が凄く面白くてはまってます。

聖母子像

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世の中クリスマスでございます。
この時期、クリスマスと年末商戦で賑わう、普段はひなびた地方都市の商店街を歩くのが好きです。懐かしくもありうら寂しくもあるこの希少で不思議な空間は、12月のほんの2週間ほどしか存在しませんので、ほぼ毎日のように商店街に出かけています。私の沿線では大船駅、平塚駅あたりがいい感じに錆びてます。
さて、
欧米のキリスト教社会では、幼子キリストを抱いた聖母マリアが描かれた「聖母子像」の蔵書票が多数存在します。
直接キリストを描いた作品よりも多い程です。
聖母子像に我が子と妻の肖像を重ねる票主も多かったようです。
 
 Karl Michel
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 Michl Fingesten
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  Hans Bayerlein 
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 つくし館さんお世話になりました。 Pavel Hlavaty
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日はまた昇る

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明けましておめでとうございます
 
今年も蔵書票の素敵な世界をご案内してまいります。
お付き合いの程よろしくお願い申し上げます。
 
新春第一弾は、蔵書票のライジングサン特集です。
洋の東西を問わず朝日は希望と未来の象徴として描かれます。
その絵柄が朝日なのか夕日なのかの判断は難しい所ですが、夕日は比較的思索的でメランコリーな雰囲気が漂っている絵が多いので、なんとなく判断しました。まあそのあたりは大目に見て下さい。
 
 
 Robert Langbein
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  Jaro Beran
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 作者不明
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 Josef Sattler
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 Arthur Henne
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  Walter Rehn  ヒギュエイアの杯で大極マークですね 縁起の良い絵柄です
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 最後に未年にちなみましてこんなの見つけました、 紋章型蔵書票のパロディでお肉屋さんです
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雪山賛歌

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毎日寒うござんす。
と言っても此処神奈川の冬なんて東北、北海道に比べたら屁のようなもの。南関東は雪が降らないだけでも相当にありがたいのだ、という事が昨年の大雪で身に染みました。私は小樽生まれなのですが、長年の関東生活で緩んだ感覚は完全に脆弱化しており、駅から家までの15分の帰路で危うく遭難する所でした。
 
冬を描いた蔵書票はあまり多くはありませんが、アルプスを擁するヨーロッパでは登山愛好家人口も多く、雪山を描いた蔵書票が結構存在します。白い雪は版画で表現するのに技術とセンスが必要ですので、作家の腕の見せ所でもあるのです。
 
 
 ドイツ風景版画の第一人者といえばこの方 Adolf Kunst
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  登山家御用達作家 
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 抽象的ですが北欧の雪と氷の世界をイメージさせます   Marius Schulten フィンランド
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 日本で山といえば 畦地梅太郎 師匠
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 山口 源 先生
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 最後に雪山ではありませんが、古き良き日本の冬です 熊谷元一 さん
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だってダンテなんだって

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私がダンテを知ったのは、敬愛する漫画家、永井豪さんの代表作「デビルマン」「魔王ダンテ」によってでした。初めて神曲を読んだのは中学生の頃でしたが、翻訳の文体が古くてあまり面白くなかった事を覚えています。その魅力がようやく朧げながらわかって来たのはギュスターヴ・ドレの挿絵版を見た時で「おいおいこりゃSFじゃねーか!」といたく偏向して感動したものでした。アホなもので、その文学的真価に関しては未だに理解出来ておりません。
 
 Dante Alighieri (1265-1321)は、言うまでもありませんが、イタリア出身の詩人、哲学者、政治家でルネッサンス期最大の文学者です。文学史上最大級の巨人としてリスペクトされており、絵画、蔵書票にも多数登場しています。
 
 Heinrich Vogeler  この顔とスタイルはボッティチェルリの絵画がベースです
 
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 神曲の1シーンですウェルギリウスとダンテ    Fritz Mock
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  Erich Heermann  
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 カレーのCMで有名なセリフ 「インド人もビックリ!」は神曲が元祖なのです。

妖精

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妖精のビジュアルイメージは、19世紀末のイギリスの挿絵画家アーサー・ラッカム、ケイト・グリーナウェイらが描いたイメージが今では定番となっています。ピーターパンに登場するティンカー・ベルがその典型ですが、少女の姿にトンボや蝶のような昆虫の羽を付けた愛らしい姿は、多くのファンタジー小説や漫画、アニメなどに拡大再生産されています。しかし一口に妖精といっても色々ありまして、全てが可愛い存在ばかりではありません。ゲルマン、北欧神話のElfsは不老不死で、人間型から怪物型まで様々存在します。ゴブリン、ノーム、ドワーフ等は小人型で、トールキンのリングシリーズでもおなじみです。日本の妖怪と同じく、人間を助けてくれる存在もいれば、悪戯したり害をなす者もいるのです。
 
今回はティンカー・ベルのようなFairy型妖精を集めてみました
 
 F Mock
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 Alexandre de Riquer
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 ベルギーの作家です
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 A Cossmann  デーモン族です
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 現代作家 Peter Velikov
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