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Channel: 蔵書票研究所 鎌倉
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票主の悦楽

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蔵書票は票主と呼ばれるクライアントが版画家やデザイナーに制作を依頼して作られます。蔵書に貼る枚数と予備、コレクターの場合は交換用等も含めて制作されます。最低50枚位から数百枚まで、1図柄でかなりの数が作られるわけです。人気の作家や凝った図柄の場合は当然値段が高いわけで、票主になるという事はそれなりに財力が必要なのです。
蔵書票蒐集が今一つメジャーな趣味にならなかった理由がこの部分なのです。基本的にトレードで蒐集するので、交換用の自票を持たなければ話にならないのです。
現代では交換以外に売買で手に入れる事が出来るようになりましたので、ようやくコレクターの裾野が広がる時代が来たのかもしれません。
多くの作家に蔵書票を発注する票主はパトロン的要素があり、版画家にとっては大変ありがたい存在でした。中には自票を集めて私家版の蔵書票集を作成した方もいらっしゃいます。いつかそのような票主になりたいものです。
本日ご紹介するのは、そんな私家版蔵書票集の逸品「Klaus Stiebeling氏の蔵書票集」です。これは日本在住のドイツ人クラウス・シュティーベリン氏が1980年に限定100部で作成した自票集です。5人の作家によるもので、そのメンバーは大変贅沢で、クラウス氏の美学が明確に表現されています。
 
 
古沢岩美さん1912-2000  日本シュールレアリスム界の先駆者です。洋画家としては珍しく多くの蔵書票を残されましたイメージ 3
 
篠原佳尾さん 1933-2005 加納光於に師事し銅版画を学びました。 1960年代に瀧口修造、澁澤龍彦、 土方巽らと出会い、生涯を通じて親交を結びました。
 
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山本六三さん1940-2001 の傑作です
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言わずと知れた日本蔵書票界の至宝アルフォンスイノウエさんです
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                  現役バリバリ多賀新さんです
 
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残念ながら惜しくも3名の方が故人となられました。あらためて選者クラウス氏の審美眼に感服します
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