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Channel: 蔵書票研究所 鎌倉
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西洋蔵書票で十二支

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干支に割り振られた十二支の動物は、中国、日本を始め東洋では比較的ポピュラーな存在です。日本の蔵書票には票主の干支を描いた作品も多数存在し、製作した年度の干支を描く場合もあります。ですので日本の蔵書票の中からは容易に十二支が揃えられます。
一方西洋では十二支の動物としては描かれませんが、12星座や神話伝説に登場する動物などを描いた蔵書票が多数存在します。
そこで、西洋蔵書票の中から十二支の動物を揃えてみたら面白いかも・・・と思い、探して見るとこれが結構難しいのです。馬や巳(蛇)は多数存在するのですが、子と卯と猪が中々見つからないのです。特に子(鼠)は西洋ではペストを媒介する忌むべき存在ですので、主役としてはほとんど登場しません(針鼠は有名ですけど)。色々ひっくり返して探し、龍はドラゴンで代用し、なんとかコレクションの中から揃えられました。

 子 (主役は猫ですが)
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 丑  ミノタウロス神話?  Ruslan Agirba
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 寅
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 卯
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  辰
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 巳  Jindrich Pilecek
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                     午
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    未
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         申  Max Schenke
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   酉  Josef Sattler
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  戌
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 亥
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さらば鎌近

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我が心の故郷、鎌倉の県立近代美術館がついに今月末で閉館になります。
以前にも書きましたが、この場所には学生時代からの様々な思い出があり、無くなってしまうのはアルバムを失くしてしまうようでとても哀しいのです。
今月あと何回行けるか分かりませんが、出来るだけ足を運ぼうと思います。

最後の展覧会、かなり混んできましたので朝一で行ってきました。
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 建物は残すのですが美術館としてはもう使われないそうです。
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 レトロなテケツ
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 開館前の階段
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 朝日の影が良い感じの入り口
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 モダン建築の傑作です 
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 普段は入れなかった三階の元学芸員室からの眺めです
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 お気に入りの喫茶室ベランダ
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 珈琲 安くて美味しかったです 
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 中庭
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 床石のひび割れ
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 此処が鎌倉で一番好きな場所
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さようなら鎌近 長い間ありがとうございました


ジャンヌ・ダルクと戦う女たち

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15世紀フランスでイングランドとの百年戦争を勝利に導いた「オルレアンの乙女」ジャンヌ・ダルク。
神の声を聞き、男達を率い、自ら甲冑を纏い戦った女戦士は世界史の教科書にも登場するヒロインですが、その最後は異端審問で火刑に処されるという悲劇的なものでした。そのドラマチックな生涯は、多くの文学、演劇、映画、音楽等に取り上げられ今も語り継がれています。最近では敬愛する山岸凉子先生が「レベレーション(啓示)」というタイトルでその伝記を漫画化しています。
蔵書票においては、フランスで描かれるのは当然として、ヨーロッパ全土で(なにしろ聖人ですので)アイドル的な人気があり、殉教者、軍人の守護聖人、ジェンダーの象徴としても描かれる場合があります。
今回はジャンヌ・ダルクと絵になる女戦士たちを集めてみました。

 Pavel Hlavaty
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  Léo Schnug ワルキューレ?
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 作者不明 
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 James Guthrie
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               作者不明  一般販売用の蔵書票
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 Andreas Bloch   元祖顔をかくしてからだかくさず
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蔵書家の本棚

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蔵書票を制作するという事はそれなりに本を所有していた愛書家という事で、所蔵する本を並べた自分の書架を描いた蔵書票も数多く存在します。
かつて本は知識の象徴でしたから本棚はその人物の頭脳の写し絵でもあったわけです。私はこんなに多くの本を読んだインテリでございますって自慢が多少鼻につきますが、その見せびらかしたいコレクター心理は同類としてよ~くわかります。それにしてもここに描かれた大きな本棚は、現代日本の庶民の住宅事情ではとても無理なのでうらやましい限りです。

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  作家の亡霊たち
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 タイトルが読めます 
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冬の星

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雪雲晴れた星空に
つかまる星のささやきが
私の耳を凍らせます

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今日の2枚になりました

蔵書票VS蔵書印

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かつて書物の所有者を明示する手段は西洋では蔵書票でしたが、東洋では蔵書印が一般的に使用されていました。
中国では古くから印を封印や認印として使用していましたが、
蔵書印としては宋代頃(960~1279)から用いられるようになったそうです。

日本では8世紀頃から蔵書印、経典への印、文庫印等として印鑑が使用されており、
明治以降西洋型の本が普及すると、蔵書印も広く制作使用されるようになります。幕末から明治期に渡来した蔵書票は、票主が版画家に依頼しある程度の枚数を刷らねばならず、それなりの手間暇と資金が必要となる為、一部の好事家には好まれましたが、一般庶民はお手軽で馴染みのある蔵書印の方を選びました。なにしろ印章店でしたら日本のほとんどの町に一軒はあったのですから。そのあたりが日本に蔵書票文化が浸透しなかった大きな理由なのかもしれません。

版と印は独自の文化体系で発展してきたジャンルですので、
こんな事を言うと双方から怒られそうなのですが、印影(版)を本に直接(押す)のか、紙に刷ってから貼るのか、その違いだけで蔵書印も広い意味では蔵書票と言えるのかもしれません。
日本には篆刻や印章の技術体系が存在していましたので、蔵書印の技法を蔵書票に応用したり、デザインのリプロダクトを試みた作家も少なからず存在します。今回は印をイメージした蔵書票を集めてみました。

 保賀 金造
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             平塚運一
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 篆刻で制作した蔵書票   樋田 直人 先生
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  馬淵 録太郎
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 武井武雄
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木版 日本の女たち

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西洋のヌード蔵書票の中には、ほとんど春画と言って良い程過激な絵柄が多数存在します。
バイロスを始めとするドイツ、オーストリア系の作家は、エッチング技法を駆使してリアルな女体を描くのを得意としました。又フランスのPaul Francois MorvanやJean Morisotのように漫画チックに単純化して描く作家や、Mark Severinのように性そのものを題材として描いた作家もいます。いずれもヨーロッパキリスト教社会の抑圧に反発するような直裁的エロさがあり、旧日本的感性の私には「情緒もへったくれもねえなぁ・・・」ってのが正直な感想でした。とは言っても日本にも浮世絵春画という伝統がしっかりとあったわけで、エロスへの渇望は情緒も何も高々と越えてゆくエネルギーを持っている事を、先日東京で開催された春画展で思い知らさせれたのでした。
浮世絵から創作版画まで、日本の版画家達にも女体表現に果敢に挑戦した歴史があります。そのあたりはちゃんとした美術史家の方々が研究されていますのでそちらを読んでいただくとして、今回は日本近代(昭和迄)の木版蔵書票に描かれた女体を特集してみました。木版の太い線でシンプルに彫られたヌードは、エロスというより何だか観音像のようで神々しく見えて来ます。いよいよ私も枯れて来たようです。

  津田 青楓
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 内藤 良治
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 武藤 完一
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 月岡 忍光
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 守 洞春
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Czeschka とウィーン工房

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Carl Otto Czeschka(1878-1960)
カール・オットー・チェシカはオーストリア、ウィーン出身の画家・デザイナーです。ウィーンアカデミーで学び、後にウィーン美術工芸学校の教授となります。
世紀の変わり目のヨーロッパでは、アーツ&クラフツ運動やアール・ヌーボーの大波が美術界を席巻しており、各国に広がった流行は、スペインではモデルニスモ、イタリアではステイレ・リベルティ、ドイツ・オーストリアではユーゲントシュティールなどと名を変え、それぞれ独自の芸術運動を生み出しました。オーストリアの美術界ではグスタブ・クリムトがウィーン分離派を結成し、ヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザーなどが中心となりウィーン工房が結成されます。これはイギリスのモリス商会をモデルとした総合デザイン工房で、グラフィック、テキスタイル、家具工芸、インテリア、建築など幅広いジャンルのデザインを手がけ、製造販売まで行う工房でした。チェシカはこの工房に1905年から参加し、オスカー・ココシュカと共に中心的メンバーとして活躍しました。彼の代表作はワーグナーでお馴染みのドイツ神話「ニーベルンゲン」の挿絵画で、ジャポニズムやクリムトの影響を感じさせるユーゲントシュティール様式の傑作と言われています。
蔵書票も何枚か手掛けていますが、思わず塗り絵したくなる程シンプルでハイセンスな絵柄です。ドイツ・オーストリア系の作家は精緻で重厚なエッチングを得意とする作家が多かったのですが、ウイーン工房系の作家は線と空間を用いたオリジナルなスタイルの蔵書票を生み出しました。

            Carl Otto Czeschka
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 Koloman Moser
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              Alfred Roller
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 Oskar Kokoschka
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コミック蔵書票

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現代漫画の原型となる諷刺画は、新聞や雑誌を舞台に政治や世相を一コマで諷刺する極めてジャーナリスティックな存在でした。それらの諷刺画は専門の諷刺画家以外にも、多くの画家、デザイナーが描いており、売れない画家が糊口を凌ぐ為にアルバイトとして描く場合も多かったようです。
デフォルメされ記号化された描き方は、やがてコミック、マンガとしての世界を確立し、現代のような児童漫画やストーリー漫画へと進化して行くのです。
今回は大量印刷とジャーナリズムの発達によって現れた、諷刺画家や漫画家が描いたコミックタッチの蔵書票を集めてみました。

  L.Jorez
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 Pen
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  P.F.Morvan
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  Clere Victor Dwigging
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       Rogerio Ribeiro
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  前川 千帆
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ネコノリブリス 猫の蔵書票 その2

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人の心をとりこにし、その庇護を勝ち取る巧妙な猫たちの作戦が功を奏し、ついに猫文明の世界征服が現実のものとなりつつあります。強力な幻惑性のある猫毒に侵された人々は、正常な判断力を失いひたすら猫族に奉仕する奴隷となるしかないのです。メディアやネットの世界をも浸食しつつある猫文明は、TVや動画サイトを食い荒らし、沈没寸前の書店ですら猫書籍コーナーを立ち上げる始末です。
蔵書票の世界にもかなり前からその兆候は表れていましたが、ここ数年加速度的にネコノリブリス(注1)が増え続けているのです。

(注1)ネコノリブリス=Nekonolibris  
猫をテーマにした猫様主役の蔵書票。多くは猫毒に侵された票主、版画家によって製作され連鎖的に猫毒を拡散する。蒐集性と毒性が非常に強い。
 対×Wankolibris

 David Bekker
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 作者不明 古い蔵書票 アスタレゴ~
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 Ank Spronk
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 Elly De Koster
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  河原 侃二  俳優としても活動した異色の作家です
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  伊藤 卓美さんが描く宮沢賢治の世界です  
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私の身体は既に猫毒に全身を侵され、もう完治する見込みがありません。もはや猫様にすべてを捧げるしかないのです。




Home Sweet Home 蔵書票の家

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子供の頃に暮した懐かしい家の想い出は、大人になっても消え去る事は無く、
記憶の中でいつまでも私の帰りを待っています。
先祖代々住み続けている家、故郷にある懐かしい家、自らが苦労の末建てた家・・・家の形は時代や国によって様々に違いますが、
蔵書票に描かれた家々には、幸せだけでは無く、別れやつらい記憶をも含んだ、
票主とその家族たちのドラマが永遠に閉じ込められているような気がするのです。

 Gerhard Wedepohl 牧歌的な風景銅版画蔵書票の第一人者です
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 夏は夜。月のころはさらなり
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 作者不明  北海道の祖母の家がこんな感じでした
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 作者不明  こんな所で暮らしたい
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 作者不明 木版
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  作者不明  かつてのヨーロッパ都市部の家
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 最後に 「羽生の宿」の作詞をした John Howard Payne
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死神の大鎌

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大鎌を持つ骸骨の姿は西洋における死神の典型的なイメージです。
大鎌は人の死に際しその肉体と魂を切り離す為のもので、最高神に仕える忠実な農夫である死神が、人間の魂を収穫する為の大事な農機具なのです。
死神はあくまで「神」の眷属であって悪魔とは違います。人それぞれの運命のシナリオに従い、その最後の幕引きを司る聖なる存在なのです。
蔵書票に描く場合の意味は、以前「踊る骸骨御殿」でご紹介したしゃれこうべの象徴と同じく、「メメントモリ=死を思え」の暗喩が込められている場合が多く、死の対極にある生命の象徴「子供」「若い女」と共に描かれる事も多々あります。

形は違いますが世界中ほとんどの民族、宗教に死神は存在します。日本にも古くから存在しますが、近年デスノートやBLEACHのような漫画やアニメの影響でその姿はおしゃれでかっこ良いイメージになってしまいましたね。私は水木しげる先生の描いた「サラリーマン死神」「河童の三平」に登場した下品で俗物の死神が哀愁があって大好きだったのですが。

 作者不明
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 作者不明
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  作者不明
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 作者不明
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 アルフォンス井上さんの傑作です
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夢見る魚

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キリスト教において「魚」は様々な象徴的意味を持つ存在です。
漁師だった使徒ペテロのエピソードや、預言者ヨナの物語は共に魚が重要な意味を持っています。
また2曲線による魚マークはキリスト教徒を指す符号であり、ギリシャ語の魚というワードに内在する暗号も有名です。
ですので、信仰の象徴として「魚」を蔵書票に描く場合もあるのですが、魚も花言葉と同様にその種類によって異なる意味を持っているので一概には出来ません。
「魚」そのものが象徴するのは、秘めた才能、知恵、アイデア、直感、チャンス等、吉兆事が多く、女体を表す場合もあります。
近代以降は、スポーツレジャーとなったフィッシング愛好家や、鑑賞魚マニアが魚を描く事例が増えました。
日本では、鯛や海老のような縁起ものをラッキーアイテムとして描く場合がありますが、鯉のぼりや鯛車のような魚を象った事物を描く場合も多くあります。

 Ake Holm  聖書よりペテロ
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 作者不明
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 Edgas Stewart
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  作者不明 1899年TIFFANY&CO製
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 作者不明 魚の尾だけが逆にささる珍しいデザインの紋章盾型蔵書票 
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 加藤 八州   
鮭や鱒は生まれた川に里帰りするので、故郷への帰還の意味を込めて描く場合があります。
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 「夢見る魚」はエリック・サティのピアノ曲です。


教会  蔵書票に描かれた神の家

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そこは神の家
我らが救いの城なり
天への階段たるあの塔を見よ
福音たるあの鐘の音を聴け
我らの罪を喰らい
我らの魂を収穫する
聖なる農園
そこは神の家
我らが救いの城なり

            D.G.Klinger
 
  Adolf Kunst  ドイツの教会です
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 Josef Sattler ニュルンベルグの聖ローレンツ教会に見えます
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 作者不明
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 作者不明  メルヘン!
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 西原 比呂志
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ヨーロッパのキリスト教社会では、教会はどの街にも必ずある建物でしたので、ランドマークとして、信仰の象徴として蔵書票にも多数描かれています。




地球儀 Globe Exlibris

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地が球であるという概念は理論上は古代ギリシャ以前からあったようで、地球儀も不完全ながら紀元前から作られていました。
ピュタゴラス、アリストテレスを経て、大航海時代の16世紀にマゼラン、エルカーノらが世界一周航海する事によってようやくそれが実証されます。
しかし、17世紀にあってさえ宗教と科学の対立によってガリレオの地動説が封殺されたように、地球という認識がグローバルになるのにはさらに時を待たなければなりませんでした。
日本においては、戦国期に信長がイエズス会から贈られた地球儀を所持していた事が有名ですが、一部の権力者、識者以外の一般庶民が知るのは江戸末期から明治維新以後になります。ほんの百数十年前でしかないのです。
蔵書票には貿易や船舶関連、外交官などの票主が好んで描きましたが、天文学、地政学などの専門学者が描いた事例も多数あります。

 作者不明
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 作者不明
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 L.Novak 
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 U.Wernaers  ベルギーのツーリングクラブです
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 川上澄生
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 V.Kvartalny  コペルニクスです
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最近のハリウッド映画のSFXの進化には目を見張るものが多く、ゼロ・グラビティやオデッセイに描かれた宇宙から見た地球の描写は感動的ですね。
飛行機に搭乗した時は上空から視る地平線が曲線なのであらためて地球が丸い事を認識させてくれます。ナイトタイムにもずっと外を視ているので迷惑がられますが。



A Lover's Concerto 恋人たちの蔵書票

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「恋愛の最も美しい成就のかたちは悲恋に終わる事である」と古の賢人が申しておりますが、結婚し日々の生活に追われるようになりますと徐々にお互いの病も癒え、かつての情熱もいつのまにか冷めてしまうのが世の常でございます。
そんな狂おしくも美しかった日々をポートレートのように蔵書票に残し、書棚の中に永遠に閉じ込めておきたいと願った票主もいたことでしょう。
またアダムとイブに始まり、現代に至るまで、神話や歴史、物語にあまた登場する恋人たちの姿も蔵書票に多数描かれて来ました。

今回はそんな恋人たちの描かれた西洋蔵書票の中から、比較的ソフトな作品を集めてみました。エロス系はまた次回。

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 作者不明
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  Josef Sattler  
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    Josep Triadó Mayol
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  J.D
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男と女の蔵書票

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肉の身を持って生まれたものにとってエロスは最も大きなテーマなのかもしれません。
性=生=聖であり、エロスは生命そのものと言えます。
それに相対するもう一つの大きなテーマは死です。
愛も欲も知もあらゆる感情や行為は生(エロス)と死(タナトス)の間に営まれるのです。

エロスをテーマにした蔵書票は数多く制作されていますが、ジャンル分けしますと以下の4つに大別出来ます。

1. 単体のヌード
2. 男女の営みを描いたもの
3. 局部を描いたもの
4. デフォルメや戯画化によって性を象徴的に描いたもの

近年のエロチック蔵書票は、ただポルノグラフィックに描いただけで何の情緒もエロスも感じさせないつまらないものが増えて来ましたが、何にエロスを感じるのかは極めて私的でフェティッシュな世界ですので、そんなぼやきも意味が無いかもしれませんね。枯れ木の戯言ですのでご容赦。

さて今回は2の男女の営みを描いた蔵書票の中から名品をセレクトしてみました。

 Pavel Hlavaty  ロケットかよ
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 Gall Ounfrolie  宮西計三かよ
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 Walter Rehn   立ってかよ
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 Karl Michel  ブラックかよ
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 Hugo Hoppener Fidus  痒いとこありませんか~かよ
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 アルフォンス井上さん   名品です かよ
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 Enrico Vannuccini   これも愛かよ
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エロスと言えばバイロス、セブラン、ゼッティ等は外せませんが、少々過激ですので遠慮しました。今回は比較的?ソフトなものを選んでます。


the doors of perception 蔵書票の扉

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その扉は知識の大海への入り口なのか、それとも懐かしき誰かの家の扉?、
入り口は同時に出口でもあり、出発と帰還のゲートなのです。
「Knock、and it shall be opened unto you 叩けよさらば開かれん」、はマタイ福音書の言葉ですが、叩くのは神の道への入り口であり、一心に神に祈り、救済を求めれば神は必ず答えてくださる。転じて、努力を惜しまなければ必ず目的を達成することができる。という意味だそうです。
扉というと私はロバート・A・ハインラインの「夏への扉」と松田聖子の「夏の扉」を思い出しちゃいます。ジム・モリソンもね。

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German Letro-surrealism Exlibris

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19世紀末から20世紀前半のドイツは世界でも最先端の科学、工業文明と、黒き森とゲルマン神話を擁するロマン主義が拮抗していました。
アートシーンでは、ユーゲント・シュティール、分離派、青騎士やブリュッケ等の表現主義にシュールレアリズム、バウハウスまで、様々な芸術運動が勃興しましたが、その影響は当然蔵書票にも及んでいます。
あまり表の美術界では知られていない当時の蔵書票作家の中にも、凄い才能の持ち主が存在しており、それらの流行を取り入れた知られざる名作、傑作蔵書票が存在しています。
今回はシュールなのかSFなのかそのルーツは分かりませんが、「この時代にこんなものが描かれていたのか!しかも蔵書票に」。と目を見張った無名作家の超絶シュールな蔵書票を集めてみました。おそらく世界初公開の作品もあると思います。

  Hermann Bauer    1923年
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 Sepp Frank
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 Walter Helfenbein
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骸骨時計

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「memento mori メメントモリ、死を憶え」をテーマにした蔵書票には「死」を象徴する骸骨や死神と共に「ライフ、人生」の象徴として「時計」が描かれる場合が多くあります。
「生」の象徴としては、子供、若い女性が描かれる事が多いのですが、時計が表すのはまさに時間であり、人生の残り時間を象徴しているのです。
「もし明日死ぬ運命だとしたら、果たしておまえは悔い無く従容と死を受け入れられるのか?まだ時間が有るとどうしてわかるのだ?」
見えざる人生時計はそう問いかけて来るのです。

 Maurice Langaskens
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 作者不明
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 作者不明
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 Barthel Beham
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 西川 洋一郎 さん
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 アルフォンス イノウエ さん
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