子供の領分
蔵書票に描かれた子供たちのほとんどは票主の子供か親族がモデルでしたが、それ以外にも象徴として子供を描く場合もあります。子供は未来、希望、子孫繁栄の象徴であり、メメントモリにおいて死の対極にある、生命そのものの象徴として若い女性像と並び多く描かれています。また男でも女でも無い未分化な性は純粋なるもの、聖なる存在として尊ばれ、羽根を付けてエンジェルとして描かれる場合もあります。今回はエンジェルでは無い、...
View Article大帆船時代
15~17世紀にヨーロッパで飛躍的に進化した造船、航海技術は、植民地政策とあいまって、いわゆる大航海時代をもたらし、多くの冒険家、野心家を海の彼方のフロンティアへといざないました。当時の船舶は商船、軍船いずれも帆船であり、その黄金時代は19世紀中期に蒸気船が開発されるまで続きました。その後天候や風に左右されない動力船は瞬く間に帆船を駆逐し、実用船としての帆船は20世紀半ばにほぼ姿を消します。しかしそ...
View Articleそして船はゆく
蔵書票に描かれた船は時代によって変化し、船舶の進歩をそのまま反映しています。小舟から現代の大型客船に至るまで、また軍艦、ヨット、漁船等、様々な種類の船舶も描かれています。今回は蔵書票に描かれた大型帆船以外の船を集めてみました。 ヨーロッパの河川で19世紀頃までポピュラーだった1枚帆の帆船です Gerhard Wedepohl いわゆるゴンドラ型です Hans Bayerlein...
View Article蔵書票仮面の告白
仮面は世界中のほとんどの地域で古代から宗教行事、祭祀などに使われていました。演劇の世界では、自分以外の者に変身する重要なアイテムとして用いられ、ヨーロッパではシェイクスピアの「ハムレット」にも登場する無言劇(パントマイム)や、「真夏の夜の夢」に出て来る仮面劇等の伝統があります。イタリアにはドミノマスクを被るマスカレードがありますが、そのコスチュームやマスクは今では何やら怪しげな象徴として使われていま...
View Article種まく人の晴耕雨読
晴れた日には田畑を耕し、雨の日には読書をする。このような生活を晴耕雨読と言いますが、故事によると悠々自適の意味もあるそうです。しかし晴耕雨読がそのような悠長な生活ばかりとはかぎりません。近代以前ほとんどの農民は貧しく、貧しさゆえに労働しながら学問する場合も多かったのです。ミレーの「種まく人」は絵画史に残る傑作として有名です。ゴッホを初め多くの画家が影響を受け、同様の主題で作品を描いています。牧歌的で...
View Article道化師たち
中世ヨーロッパの王宮には「宮廷道化師」というものが存在していました。宮廷にあって芸や話術で座を和ませるコメディアンの役割を担っていたのですが、その立場は特殊な位置にあって、ヒエラルキーの埒外に置かれた存在でした。...
View Article画家のいた場所
18世紀後半にヨーロッパで純粋芸術という概念が生まれるまでは、画家、デザイナー、職人等の境界はそんなに明確ではありませんでした。例えば、建築を装飾する為に彫刻や絵画があり、同様に家具やインテリア、食器などの工芸品が必要だったので、一つの工房(制作者集団)が総合的に物件のプロデュースをする事も普通にあったのです。...
View Article森と樹の詩
ドイツの森林信仰、ケルトのドルイド、世界樹の神話等、樹木を神格化する宗教や物語は洋の東西を問わず世界中に存在します。ランドスケープとして森を描いた蔵書票は多数制作されていますが、今回はその中でも樹そのものを描いた蔵書票を集めてみました。あえてその一本を描いたという事は、票主がその樹によほどの思い入れがあったのか、なんらかの意味があったのでしょう。それらを想像するのもロマンチックなのです。...
View Article花の蔵書票 2. 花の色は
蔵書票に描かれた花、今回は色つきの花です。銅版画、木版画、石版画それぞれの技法の違いによって花の表情も違います。儚き花の色をいかに表現するか、作家の技術との格闘跡も見所なのです。 Rudolf Sieck 銅版画です アールヌーボー時代の花 石版画 Edmund Peter 木版です 技法不明 Bernhard Kuhlmann Janescek Dolen 多分銅版画 肥田 聡さん...
View Article花の蔵書票 3. 薔薇
薔薇はその華麗で多彩な色彩と造形のゴージャスさから、まさに花の女王といった品格があります。薔薇の花言葉は色によって異なりますが、赤い薔薇が象徴する「愛」「情熱」「美」等が最も一般的なイメージではないでしょうか。 ギリシャ神話に登場する愛と美の女神アフロディーテを象徴する花であり、キリスト教においては聖母マリアを象徴するとされています。...
View Article版画工房の刷師たち
木版画から銅版画、そして石版画へと版画の技法は時代と共に進化し、また深化してきました。写真が発明される以前、版画で表現される「絵」は文字のみの印刷を補う重要な情報でもあり、出版文化の一翼を担ってきたのです。本の歴史と共にある蔵書票も当然出版文化体系の中にあり、時代毎の技術レベルや流行によって進化し変化し続けて来ました。日本の浮世絵は絵師、彫師、刷師と分業制になっていましたが、それぞれの過程に高度な技...
View Articleヌードな銅版画蔵書票
蔵書票は本に閉じられた世界なので、票主のプライベートや秘密を閉じ込めた場所でもありました。その為?なのか蔵書票にはヌードが非常に多く描かれています。 ヨーロッパのキリスト教社会で抑圧された性表現がこんな所にあったのか、と思う程過激で直截的なエロ図柄も多数存在します。...
View Article線の女
ヌードは労力と時間をかけて描き込むよりも、単純な線のみで描く方がはるかに難しく、またシンプルゆえにあからさまに画家の実力が現れてしまいます。デッサンやクロッキー等の基礎をどれだけ修練したのか、観る人がみれば一目瞭然で誤魔化しが効かないからです。それでもあえて単純化した表現で勝負したからには、画家に相当な実力と自負があったのでしょう。今回選んだ蔵書票は、手練れの実力者達が描いた線の女たちです。このよう...
View Article木版の女
木版画は銅版画等に比べて細密な表現は苦手なのですが、ダイナミックで大らかな表現力が魅力です。木版ならではの省略とデフォルメによる表現主義的なヌードは、精緻な表現とはまた違った素朴で原初的なエロスがあるのです。 Gian Luigi UboldiFrans MasereelJosef Hodek Jozsef Farkas ハンガリー Rockwell Kento アールデコです
View Article靴下の女
孤独な男達に温もりを与えましょう哀れな男達に至上の快楽を与えましょうその傷ついた心と身体を愛の幻で満たしましょうほんの少しの対価を払えば私は貴方の恋人ほんの少しの時間だけ私があなたの思い出ずうっと昔から私は此の街にいる娼婦と言う名の女神ずうっとこれからも私は此処にいる靴下を履いた女神 Karel Simunek Dr Jean Morisot 作者不明...
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