Franz von Bayros が描いた音楽家票
エロチックな作品ばかりが注目されるバイロスですが、彼の描く蔵書票の中には音楽をモティーフにした作品や、高名な音楽家が描かれた作品も多数存在しています。彼の活躍したオーストリアのウイーンは音楽の都として知られていますが、当然演奏家、作曲家、音楽業界関係者らが多く居住していたので、音楽をテーマにした依頼も多かったと思われます。...
View Article我が友は犬 我が恋人は猫
蔵書票に描かれた犬たち野生動物であった原始の犬族が、どのような契約で人類と共存するに至ったのかは知るよしもありませんが、単に餌を与えられる事の対価にしては犬の人への献身は度が過ぎています。それは時に感動的ですらあります。なにしろ犬は人と違って絶対に裏切らないのですから。 象徴としての犬は、忠誠、献身、勇気、友情、多産などを表すとされ、狩猟好きや武人系貴族等が好んで紋章、蔵書票に描きました。...
View Article蔵書票に舞い降りた鷲
勇壮で力強い鷲の姿は、強さ、力、勇気、不死、遠大な視野、神の使者(もしくは神そのもの)、などを象徴するとされています。 古くはローマ帝国の国章に用いられ、以来様々な国、貴族、団体が象徴として使用して来ました。...
View Article白鳥と鶏のブルース
白鳥と言えばLed Zeppelinフリークの私は、彼らが設立したレコードレーベルSwan Song Recordsのマークを今でも想い出します。このマークは白鳥の羽根を持つアポロ像でしたが、様々な神話・伝説の中で白鳥は時に男性であったり女性であったりと、その姿を変化させています。ちなみにSwan Song...
View Article女神の竪琴
楽器を演奏するシーンは蔵書票の画題としてよく描かれていますが、中でも竪琴(ハープ)を持つ女神像(女性像)は最も頻繁に登場するキャラクターです。ギリシャ神話に登場する文芸、芸術の9人の女神MUSAは芸術を愛する票主達に好んで描かれました。9人の中で竪琴を持っているのは合唱と舞踏を司るテレプシコーラと、独吟叙事詩の女神エトラーですが、どちらも音楽が欠かせない要素なので、それを象徴する竪琴を持っているので...
View Articleピアノの景色
ピアノはチェンバロやクラヴィコードを原型とし、現代の形に進化したのは1720年代以降ですので、近代の新しい楽器と言えます。ですので神話や伝説には登場しないのです。19世紀になるとヨーロッパの比較的裕福な家庭を中心に普及し、ピアノの為に多くの音楽が作曲されました。絵画の中にもルノワールなど印象派の画家たちが好んで描いており、家族や女性とともにピアノがある景色は、ロマンスや芸術を象徴する平和なイメージを...
View Article本に恋するヴァイオリン
ヴァイオリンが現在の形態に落ち着いたのは16~17世紀頃らしいのですが、弦を弓で擦って音を出す楽器はかなり古い時代から存在していたようです。ギターや笛のように簡単に持ち運び出来るので、吟遊詩人や旅芸人などが使用し、祭り、舞踏の伴奏などにも広く用いられていました。ヴァイオリンの音はよく女性の声に例えられますが、その情感溢れる音色は感情表現がしやすく、数々の名曲を生み出しました。現代ではクラシックはもと...
View Articleギター残響図伝
ギターの歴史は古く、その原型は紀元前3000年頃には既にあったようです。ほとんどの弦楽器の先祖は狩猟につかう弓がベースになっていますので、打楽器に次いで古い楽器と言えるでしょう。持ち運びに便利で演奏し易い楽器なので、弦をつま弾く同系楽器は世界中に存在しています。ギターが現在の形になったのは16~17世紀頃ですが、蔵書票にはリュート、マンドリン、チター等様々なギター系弦楽器も描かれています。...
View Article音楽を描く 音楽を読む
票主は何故蔵書票に音楽シーンを描いたのでしょうか。象徴的な意味を持たせる為に音楽をモチーフに使う場合もありますが、まず単純に票主が音楽好きだったという事が考えられます。敬愛する作曲家であったり、楽器であったり、好きなオペラの名シーンであったり、描かれた絵柄は様々ですが、わざわざ蔵書票に描くという事は、音楽に対する深い愛情が伺えます。この辺はアイドルやロックスターに憧れて部屋にポスターを貼ったり、スマ...
View ArticleJaponisme Exlibris
19世紀、明治維新による日本の開国によって、欧米に大量に輸出された美術品、陶工芸品等の日本美術は、フランス、イギリスを初めとする欧米アートシーンに、ジャポニズムと呼ばれる日本趣味のブームをもたらしました。ゴッホ、モネ、ロートレック等多くの芸術家達に多大な影響を与えたジャポニズムは、アールヌーボー、アーツ&クラフツ、ユーゲントシュティール等の芸術運動の端緒となったのです。中でも北斎、歌麿を初めとする浮...
View Articleイカロスの飛行
名大工職人ダイダロスとその息子イカロス(Icarus)はミノス王の不興を買いラビリンスに閉じ込められてしまいます。脱出の為、鳥の羽を集め蝋と糸で固めた人工の翼を作ったイカロスは、見事大空を飛び脱出に成功します。しかし調子に乗ったイカロスは父の忠告を忘れ高く飛び過ぎてしまうのです。太陽の熱は翼の蝋を溶かし、ついにイカロスは海へと墜落してしまうのでした。この神話の象徴としての意味は、大きく2つあります。...
View Article聖母子像
世の中クリスマスでございます。この時期、クリスマスと年末商戦で賑わう、普段はひなびた地方都市の商店街を歩くのが好きです。懐かしくもありうら寂しくもあるこの希少で不思議な空間は、12月のほんの2週間ほどしか存在しませんので、ほぼ毎日のように商店街に出かけています。私の沿線では大船駅、平塚駅あたりがいい感じに錆びてます。さて、欧米のキリスト教社会では、幼子キリストを抱いた聖母マリアが描かれた「聖母子像」...
View Article雪山賛歌
毎日寒うござんす。と言っても此処神奈川の冬なんて東北、北海道に比べたら屁のようなもの。南関東は雪が降らないだけでも相当にありがたいのだ、という事が昨年の大雪で身に染みました。私は小樽生まれなのですが、長年の関東生活で緩んだ感覚は完全に脆弱化しており、駅から家までの15分の帰路で危うく遭難する所でした。...
View Articleだってダンテなんだって
私がダンテを知ったのは、敬愛する漫画家、永井豪さんの代表作「デビルマン」「魔王ダンテ」によってでした。初めて神曲を読んだのは中学生の頃でしたが、翻訳の文体が古くてあまり面白くなかった事を覚えています。その魅力がようやく朧げながらわかって来たのはギュスターヴ・ドレの挿絵版を見た時で「おいおいこりゃSFじゃねーか!」といたく偏向して感動したものでした。アホなもので、その文学的真価に関しては未だに理解出来...
View Article妖精
妖精のビジュアルイメージは、19世紀末のイギリスの挿絵画家アーサー・ラッカム、ケイト・グリーナウェイらが描いたイメージが今では定番となっています。ピーターパンに登場するティンカー・ベルがその典型ですが、少女の姿にトンボや蝶のような昆虫の羽を付けた愛らしい姿は、多くのファンタジー小説や漫画、アニメなどに拡大再生産されています。しかし一口に妖精といっても色々ありまして、全てが可愛い存在ばかりではありませ...
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